芸カ21

同人誌内のあとがきは疲れていたのもあって適当に書いてしまったんですが、
いろいろな方から感想をいただいたりすると、もっと書きたいことがあったな……と思ったので、
あとがきディレクターズ・カット版を書いてみます。
長いので皆さんが読むことはなく、5年後の自分が読むものとして考えています。死んでいなければですが……。
 
・題材
あいびりらぶみの大学生パロの構想があったのは同人誌内で述べたとおりですが、
それよりもっと前から特定の数字をテーマにした作品を作ることをやってみたいと思っていました。
それなら芸カ21だから21歳がいいじゃないか、とすんなり決まりました。
 
大学生活ネタとなると、18~19は飲酒NGがネックとなりますし(実際はまあ、飲んでるでしょうが)
20もまた飲酒初体験みたいな話になりがち、22は就活?、そう考えると
21はなかなか丁度いい数字になるのかな?と思います。恋愛沙汰に目覚めるにしては少し遅いですが……。
 
・タイトル
数字をテーマにするのをやってみたかったというのは、映画のタイトルに年齢の数字が入っているのが好きだからです。
「スウィート17モンスター」「17歳のカルテ」「SWEET SIXTEEN」などなど……。
その中の、スウィート17モンスターの原題の「The Edge of 17」から取りました。
んでThe Edge of 17の元ネタはSteve Nicksの楽曲のタイトルでして、その由来は
会話の中で「Age of 17(17歳の頃)」を「Edge of 17(17歳の曲がり角)」と聞き間違えたことだそうです。
響き優先で決めたタイトルですが、結果的に本編にピッタリな意味合いになったのではないかな?と思います。
 
こう考えるとタイトルに入る年齢はティーンが多いんですが、
20代前半だってティーンみたいに迷走したり悩んだりしていいみたいな意図もまた込められた……かも。
 
映画以外からタイトルを取るパターンでは、「女子大生は何をやっても許される」という案もありました。
ギャグっぽいタイトルにしつつ、本編後半で「何をやっても許される」が重要なキーワードになっているので、
読んでいて最後に繋がった感じを得られるのではないかなと思ったのですが……。すんでのところでボツ。
 
・表紙
「スウィート17モンスター」日本版ポスターのパロディです。
キャラが1人ではなく4人になっていますし、ほぼ別物ですが……。
カラーリングは眞城さんが自分の考えをうまく吸収してくださってとてもアートな出来栄えになりました。ありがとうございます。
 
構図に意図とかはないし本編とのつながりもありません。
大学生の象徴たるスマホを持ちながらダラダラ汗かいてるアリシアさんを描きたくて、他3人はそれに合わせて描きました。
 
・設定
とにかく、その大学のモブ学生になったとして、
「うちの大学にスゲー美人の集団がいるんだが、あいつら何者なんだよ……」となる、そんな状況を頭に思い浮かべていたので、
彼女らがアイドルではないことは最優先で決めました。
 
学力は一般的には良い部類だがトップクラスというわけではない、
1人暮らしの方が大学生感が出て良い(自分は実家からでしたが、一人暮らし組が羨ましかった……)、
そのくらいで、あんまり練り込んでないのが正直なところです。
彼女らのアイドルとしての特性はサークルに盛り込んだつもりですが、
自分がサークル経験に乏しいのでちょっとFAKEになってしまいましたね……。
 
あと、大学を神城大学にしようかちょっと悩んだんですが特にそれによって面白い話が作れる気がしなかったのでやめました。
 
・構成
私は群像劇が好きで、無論キャラ4人では群像劇には足りませんが、
ギャグっぽい短編が繋がって、最後にちょっといい話に繋がって終わるというのを11月に夜行バスに乗っている時に思いつきました。
道満晴明のファンなので、「メランコリア」「ヴォイニッチホテル」なんかが近いですし、
さらにはその元ネタの一部の「マグノリア」もありますね。あそこまで荒唐無稽なオチには出来ませんでしたが……。
 
・扉
クソ王道なとこから行きますが、この演出をやりたかった理由は「ラ・ラ・ランド」です。
あの演出は本当に1年の中の出来事というわけではないので、意味合いが全然ちがいますし、うわべを掬っただけでしかないのですが……。
ちょうど4人で季節4つですし、ファッションセンスがないなりにファッショナブルな感じも出したかったりとか、
個人的にはやっててすごく楽しかったです。
 
あとプロではない方の個人名を挙げるのははばかられるのですが、
数年前に同人誌で数字付きのアイキャッチを入れる演出を見た影響もあります。
 
・#01
最初に考えた話です。アリシアだけ頭があんまりよくないというのはわりと自分の周りにメジャーな解釈だったので……。
キャラ紹介にもなり、ちょうどいい感じにまとまると思ったんですが描いてみるとちょっとピンと来なかった……。
 
私はわりと友達に代返を頼んだりレポートをうつさせてもらったりしちゃう人だったんですが、
別にミライさんやひびきさんはレポートパクったりはしてないと思ってます。
ただ単に頭がよいだけ。フィクションなのでそれでいいと……いやでも現実にそういう人はいるんだよな……。
 
・#02
1話・2話はギャグとシリアスで並べたかったのでここに配置しました。
アリシアがひびミラにほっとかれるけどアリシアが変なのに絡まれた瞬間に即助けてくれるという構図はずっと考えて、
それに、2人の恋愛の認識の食い違い……これは大学ネタじゃなくても私がいつもやってることなんですが、それを足した感じの話です。
 
・#03
これも典型的あいびりらぶみ二次創作の文法という感じなのでコメントすることはないです。
ちなみに皆わりと実家が太いつもりの設定なので節度を守って遊んでいればバイトはしなくても平気です。
バイトの話、ギャグ以外でもっと掘り下げたほうがよかったかも……。
 
・#04
自分が大学生活ネタにはまったのは洒落怖の「師匠シリーズ」なんですが、
(大学のオカルトに詳しい先輩を「師匠」と呼んで慕い、色々な恋愛スポットに連れて行ってもらう話です)
師匠が失踪する寸前に「そうめんしか食べてない」と言う発言をするのがなんかツボで、それから話が出来ました(?)。
 
大学生の服装がアレになっていくのは単なる「あるある」ですね……。4話にしてようやく「あるある」を出せた気が……。
あとがきで述べた通り、本編よりも皆と仲が良いので軽口を叩くアリシアを描いているのですが。
 
・#05
二次創作では王女をアホ扱いしてしまいがちですが、ひびきさんはその無知に呆れることもなければ、
知識をひけらかしてマウントを取るようなことも絶対にないのがポイントです。
ただただ優しく教えて、喜ぶ王女を見て満たされるだけです。
あまりにも優しいのでアリシアをビーチバレーでボコった記憶は楽しい思い出ではないので抹消してしまいました。
しかしそれにすら王女は劣等感を感じてしまうという……。でも自分もこれやられたら辛いと思います。
 
恋愛は理屈ではないので、たとえひびきさんがすべてにおいて優れていたとしても
付き合っちゃいけないことにはならないんですよね。そこに明確な理由はいらないと思います。
ラムネと花火は自分が全力で考えたロマンチック要素です。
 
・#06
ハロウィンもあるあるネタですが、「量産型」云々の伏線のつもりです。今考えると伏線が後半に集中しすぎててちょっとイマイチですね……。
カレンさんがわかばのモノマネを否定しなかったことがすごく好きなので、
カレンさんはきっと量産型を否定しないんじゃないかなと思い、こういう形になりました。
 
ミライさんのなんだかんだ常識人なとこが好きなのも、本編後書きに書いたとおりですが……。
ある意味、「人と違う」に拘る大学生も量産型ですし、私は量産型をこよなく愛しているのでそういうことです。
ちなみに私はミニスカポリスをやってほしいです。
 
・#07
飲酒あるあるネタですが、飲酒タイプ4分類は個人的に会心の出来です。
王女には嘔吐してほしいしひびきさんには寝てほしいしミライさんは弱くはないが適度に苦しむ。
カレンさん、総じてこの作中の最強キャラになっていますが、まあ概ね皆さんの解釈と同じではないでしょうか……。
これも伏線のつもりです。
 
・#08
サークル飲み会のクソ男女関係のあるあるネタをベースに、
好きな人が変な男に手出されてたら辛いのをお互いにやるっていうエピソードなんですが、
男女カプだとどうしても対称性がないから、これは百合カプでしか出来ない。
それも男を排除したような百合作品では出来ないから、結構気に入っています。
 
こういうしょーもない男の性欲と浅ましさが私はたまらなく好きなのでモブ男含めて愛しているし、
それによって紡がれる世界もまた美しいので愛しているし……。
この話が気に入りすぎててひびアリが結ばれるとこが弱まってしまいました。
 
・#09
アリシアの誕生日が2月だったの、偶然ですが完璧でした。
当初はクリスマスの予定でしたが、誕生日見てたらこれ完璧やん……となりました。
こう語ってしまっている通り、かなり行き当たりばったりに描いているのがバレバレなのですが……。
 
最初に言ったとおり21歳っていう年齢に意味を持たせる台詞回しが書けてたらいいなと思います。
21歳は何をやっても許される、いや人に迷惑かけるのは許されるべきではないんですけど、やっぱり許されてしまうんですよ……。
モラトリアムは無敵だから。
 
 
ということでまあまあな文章量になりましたが、
書いてみるとタイトルや構成には元ネタが多いのに話自体にはあんまりないんだな~と思いました。
パクリ上等ってわけじゃないんですけど元ネタの引き出しが多い人の作品が私は好きなので、
今年は漫画ばかり描かないで映画をもっと見なくてはならないなと思いました。
もう2月ですが……。
 
では。